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  • 改善が続く職場・止まる職場の違い|人・教育・3Sで現場は変わる

    なぜ改善活動は続かないのか

    改善活動を始めても、

    いつの間にか気づいてしまう。

    一時的には盛り上がっているものの、数か月後には元に戻ります。

    多くの現場で、このような経験があるのではないでしょうか。

    そして改善が止まると、

    「意識が低い」

    「やる気がない」

    と、人の問題に陥ることはありません。

    しかし、50人規模の製造現場で品質改善に取り組んでいる中で、私は確信と確信しました。

    改善が続かない原因は、人ではない仕組みにあります。

    改善が続く現場には共通した運用ルールがあり、

    逆に止まる現場にも、明確な共通点があります。

    この記事では、改善が続かない職場の特徴、

    改善が文化として定着する職場の違い、

    そして3S・教育・評価を連動させた改善運用の進め方を、

    実体験をもとに解説します。

    第1章|改善が続かない職場の共通点

    改善が続かない職場では、次のような状態が見られます。

    • 改善活動がイベントになっている
    • 改善しても評価に反映されない
    • 改善内容が標準に反映されない
    • 教育と改善活動がつながっていない
    • 管理監督者が結果だけを確認している

    つまり、改善しても現場の仕組みが変わらないため、

    時間を経てば元に戻ってしまうのです。

    改善とは、

    「思いついたことをやる活動」ではなく、

    標準を更新していく活動です。

    この考え方がない現場では、改善は継続しません。

    第2章|改善が続く職場の共通点

    一方、改善が続く職場には次の特徴があります。

    小さな改善でも評価される

    改善内容が標準書へ反映される

    改善内容が教育資料として使われる

    改善結果が見える化されている

    管理者が改善プロセスを確認している

    つまり、

    改善

     ↓

    標準化

     ↓

    教育

     ↓

    評価

    という流れが、日常の運用として回っています。

    改善が文化として根付くかどうかは、

    この仕組みが文化として根付くかどうかで決まります。

    第3章|3Sが「人を育てる教育」になる理由

    多くの現場で

    3S(整理・整頓・清掃)

    が実施されていますが、

    単に掃除活動で終わってしまうケースも少なくありません。

    しかし、本来3Sは、現場教育の最も重要な基礎訓練です。

    • 整理:必要・不要を判断する力を養う
    • 整頓:標準を守る習慣を身につける
    • 清掃:異常に気づく力を高める

    つまり3Sは、

    判断力

    標準理解

    異常発見力

    を育てる教育活動でもあります。

    3Sを教育と結び付けて運用している現場では、

    改善提案の量と質が確実に向上していきます。

    第4章|人が育つ改善サイクル

    現場で改善を定着させるためには、

    次のサイクルを回すことが重要です。

    3Sを実施する

     ↓

    異常やムダに気づく

     ↓

    改善を行う

     ↓

    標準書に反映する

     ↓

    教育・訓練を行う

     ↓

    評価に反映する

    このサイクルが回り始めると、

    改善は一部の人の活動ではなく、

    現場全体の日常業務になります。

    第5章|管理監督がやるべき役割

    改善を定着させるために最も重要なのは、

    管理監督の関わり方です。

    管理者がやるべきことは、改善を指示することではありません。改善が続く仕組みを作ることです。

    具体的には、

    • 改善活動を評価項目に入れる
    • 月1回、改善実施状況を確認する
    • 改善内容を標準書へ反映させる
    • 改善内容を教育資料として活用する
    • 小さな改善でも必ず評価する

    この運用を続けることで、

    現場では「改善することが当たり前」という文化が

    生まれています。

    まとめ|改善は人ではなく仕組みで続く

    改善が続かない原因は、

    人の意識ではありません。

    改善が標準に反映されない

    教育と連動していない

    評価とつながっていない

    この状態では、

    どれだけ改善を呼びかけても長く続きません。

    3S

    教育

    評価

    この3つがつながったとき、

    改善は一時的な活動ではなく、

    職場文化になります。

    改善が続く職場と止まる職場の違いは、

    人間ではなく、仕組みの違いです。

    まずは、

    小さな改善を標準に反映することから、

    始めてみてください。

  • なぜ「教育しても人が育たない」のか

    教育をしているはずなのに、人が育たない。

    現場が楽にならない。

    多くの工場で見られるこの悩みは、教育本来が悪いのではありません。

    問題は、

    教育が評価につながらず、

    評価が人財化に気付いていないことです。

    教育・評価・人財化は、

    一直線でつながる仕組みとして設計しなければ、現場では機能しません。

    第1章|教育を「単発」で終わらせない

    大事なことですが、教育を一度きりで準備しないことです。

    何故か?

    人は一度言ってもやめないからです。

    そのため、教育が続く現場では、

    教育を「工程」として扱います。

    運用ルール

    ①教育は業務の一部と定義する

    忙しい=教育しない、を気にしない教育は善意ではなく、仕組みとして無駄なものです。

    第2章|教育の起点は経営方針・品質方針

    次に、教育の起点を明確にします。

    何故か、

    何を目指すか考えなければ、

    何を教えるか決められないからです。

    運用ルール②

    経営方針・品質方針から教育テーマを決める

    現場に任せないことで、教育のゴールが決まります。

    ①全体フロー図

    【経営方針・品質方針】      ⇒【必要な人材・スキル定義】            ⇒【作業標準・標準時間】    ⇒【教育・訓練】(OJT/標準書/動画/実作業)    ⇒   【到達レベル評価】(Lv1~Lv5)            ⇒【評価・役割・処遇】       ⇒【人財化】(任せる・教える)         ⇒【次の教育計画へフィードバック】         

      ↺【繰り返し】

    教育が続く現場

    教育と評価の調和

    人財育成

    作業標準教育

    現場教育の仕組み

    教育 → 評価 → 人財化フロー(教育が続く現場の仕組み)

    第3章|作業標準を教育と評価の軸にする

    続いて重要なのが、作業標準の意味です。

    作業標準がなければ、

    正しくできるかわからない

    評価もできない

    運用ルール

    ③教育は作業標準に基づいて行う

    評価基準も

    作業標準と標準時間標準は、

    教育の教科書であり、評価の物差しです。

    👉「どうやって」というのが最大のポイントです。

    教育フェーズ(何をどう教えるか)

    作業標準   ⇒ 教育計画(年間・個人別)   ⇒ 

    教育実施・手段

    やってみせ

    言って聞かせ

    させて見せる

    ほめる

    (具体例として)

    標準書、写真・動画 ⇒ 文書だけでは理解し辛い、動画有効

    OK/NG見本 これも画像、動画でも可能

    実作業OJT ⇐ これが大事

    第4章|教育の結果を必ず「見える化」する

    教育は、やったかどうかはわかりませんでは意味がありません。そのため、教育が続く現場では必ず見える化を行います。

    運用ルール

    ④教育記録を残す

    到達レベルを明確にする

    これにより、

    管理者がわかる

    本人も成長を実感できる教育は、見えるから続きます。

    👉人によって教育方法を変える

    評価フェーズ(見える化)

    教育実施後     ⇒ 到達レベル確認     ⇒ 

    レベル評価(Lv1~Lv5)

    レベル評価の考え方(例)

    Lv1:標準を理解できない

    Lv2:品質OKだが時間超過

    Lv3:標準・時間を満たす

    Lv4:安定して達成できる

    Lv5:人に教えられる

    第5章|評価と協調させて「行動を変える」

    次に重要なのですが、

    教育結果を評価につなげることです。

    何故か、

    評価されない教育は行動を変えないからです。

    運用ルール

    ⑤レベル評価を行う任せる仕事・役割に反映する

    教育 → 評価 → 役割

    この流れができて初めて、

    人は次のステップへ行きます。

    第6章|評価は「人を敬う」

    何故か、

    評価が形骸化する現場では、

    評価=ダメ出しになっています。

    しかし、評価の本来の目的は違います。

    運用ルール

    ⑥評価は課題抽出のために使う

    不良やミスは教育に戻る評価は、

    人を落とすための道具ではありません。

    👉評価は事実ベース・感覚NG

    人財化フェーズ(任せる)

    評価結果   ⇒任せる仕事を決める   ⇒ 

    役割付与・一人作業・多能工・教育担当

    👉レベル評価表(昇給・役割連動)

    レベル定義(全体像)

    Lv0:未熟教育が必要

    Lv1:基礎作業を覚えている段階

    Lv2:標準作業者品質を守る

    Lv3:自立した作業者速さと安定

    Lv4:上級作業者改善・多能工

    Lv5:人財教え・任せられる

    レベル別評価基準(作業・品質・時間)

    🔹Lv0|未熟評価項目基準作業標準理解理解していない品質不良が多い標準時間未達仕事の姿勢指示待ち役割教育対象昇給目安なし

    🔹Lv1|基礎評価項目基準作業標準理解

        一部理解品質指示があれば可

        標準時間大幅に遅い

        仕事の姿勢指示通り

        役割単純作業昇給目安ほぼ

    🔹Lv2|標準作業者(評価の基準点)評価項目

        基準作業標準理解理解している

        品質安定して保障標準時間±10%以内

        仕事の姿勢

        自立役割主力作業

         昇給目安基準昇給

    👉ここが「給料分が働いている」状態

    🔹Lv3| 自立作業者評価項目

        基準作業標準理解正確

        品質不良ゼロに近い

        標準時間達成・短縮仕事の姿勢

        改善意識

        役割難作業対応

        昇給目安+α昇給

    🔹Lv4|上級作業者評価項目

        基準作業標準理解

        改善提案可能

        品質工場内で作り込む

        標準時間常に達成

        仕事の姿勢本体の役割

        多能工・改善担当

        昇給目安明確な昇給

    🔹Lv5|人財(宝)評価項目

        基準作業標準理解

        教えられる品質

        工程設計の視点

        標準時間管理できる

        仕事の姿勢育成・牽引役割

        教育担当・リーダー

        昇給目安上級昇給・役職候補

    一般常識・態度評価(全レベル共通)

    ※教える前提で評価項目に含める

       項目評価してみる

       挨拶自分からできる

       時間遅刻・報連相ルール

       姿勢を守る

       協調性他責にしない

       昇給・役割との連動ルール(例)

    レベル昇給役割

       Lv0~1対象外教育重視 

       Lv2:定期昇給主力

       Lv:3加算昇給重要工程

       Lv4:上位昇給改善・多能

       Lv5:別枠教育・管理補佐

    第7章|人財化は「任せる」ことで完了する

    最後に、人財化です。

    教育と評価を繰り返した結果、

    人は次の段階に入ります。

    運用ルール

    ⑦レベルに応じて仕事を任せる

    教育役割を任せる人は、

    任されることで本当の意味で生まれます。

    👉任される=人財化の完了

    ⑤フィードバック(教育が続く理由)

    評価結果   ⇒ 不足スキルの明確化   ⇒ 

    次の教育計画を振り返る

    第8章 管理監督者の行動と責任

    👉管理監督の関与ポイント

    管理監督者が

    教育計画を作る

    教育実施を確認・評価を行う

    次を決める

    👉管理監督者の行動が終わると、仕組みは止まる

    管理者用チェックリスト(例)

    項目はいいいえ
    経営方針・品質方針を説明できる
    方針に基づく教育テーマを決めている
    現場任せの教育はなくなっている
    年間教育計画がある
    個人別教育計画がある
    教育の目的が明確である
    教育実施の担当者が決まっている
    作業標準が整備されている
    教育は作業標準に基づいている
    標準時間が設定されている
    標準は現場と取り組んでいる
    教育方法が決まっている
    実作業で教育している
    教えられた内容を確認している
    教育記録を残している
    到達レベルを定義している
    レベル評価を行っている
    本人と評価結果を共有している
    評価基準が解消されていない
    評価をダメ出しして使っていない
    評価結果を教育に戻している
    ミスを改善の材料にしている
    レベルに応じた仕事を任せている
    教育担当を任命している
    成果を認めている
    評価結果を次の計画に反映している
    教育内容を定期的に見直している

    回っていない仕組みは混乱します

    判定目安(自己診断)

    はい:22以上 → 仕組みは全体機能

    はい:15〜21 → 一部改善が必要

    はい:14以下 → 教育は休止状態

    管理監督が変われば、現場は変わる

    教育が続くかどうかは、管理監督者の関与で決まります。

    計画を立てる、実施を確認する、評価する

    この3つで、

    教育 → 評価 → 人財化は確実に動き始めます。

    「頑張っても評価されない」を防ぐ面談での使い方

    管理監督者は、作業者と面談をして現在レベルを共有、次のレベル条件を知る必要な教育を決める

    👉評価=未来の話まとめ

    人は評価の仕方で育つ

    作業標準がある

    レベルが見える

    昇給・役割につながる

    この3点が整えられた瞬間、

    人は「人材」から「人財」に変わります。

    このレベル評価表を使った「評価面談テンプレ」

    レベル評価表を使った「評価面談テンプレ」

    この面談の基本スタンスが最重要になります。

    そして、

    ❌評価を言い渡す場ではない

    ⭕次のレベルへ進むためのすり合わせの場

    👉正解は「一緒に確認する」

    ①面談の反省(安心させる一言)

    管理者用トーク例「今日は評価を決めるというより、今のレベルと、次に何をすれば上がれるか一緒に確認する時間にしたいと思います。」

    👉これだけで防御姿勢が消えます。

    ②現在のレベルを共有する確認項目

    (レベル評価表を見ながら)

    現在レベル:Lv ○評価理由(事実ベース)

    作業標準の理解度

    品質の安定性

    標準時間の達成状況

    トーク例「今は・標準通り作業できて・品質も安定しているなので、Lv2相当と判断しています。」

    👉感覚・印象は禁止。

    必ず行動と事実で説明する

    ③ご本人の自己評価をお願いします(必須)

    質問テンプレ「ご自身では、今どのレベルだと思いますか?」「そう思った理由は何ですか?」

    👉

    自己評価が低い → 自信不足

    自己評価が高い → 期待値ズレ

    どちらもわかる重要な部分

    ④ ギャップをすり合わせる

    ギャップがある場合(超重要)

    ❌

    「それは違う」「まだ足りない」

    ⭕

    「ここは同意しますね」「ここは、もう少しこうなると次のレベルです」

    👉否定ではなく条件の提案

    ⑤ 次のレベル条件を明確にする

    レベルコンディションアップテンプレ項目

    次レベルの条件

    作業標準を一人で披露

    品質不良ゼロ

    継続時間標準時間±5%

    姿勢異常を自ら報告

    トーク例「この4点が安定すれば、「次回評価ではLv3に上げられます。」

    👉「どうすればいい」が100%わかる状態を作る

    ⑥教育・訓練の具体化(ここが肝)

    教育計画テンプレ項目

    内容教育内容

    工場の標準作業方法動画+現場OJT

    教える人Lv4作業者

    期限○月末確認方法実作業確認

    👉

    「頑張って」「意識して」は禁止

    ⑦昇給・役割との関係を伝える

    伝え方テンプレ(超重要)

    「Lv2は今の給与水準、Lv3になると〇〇が任される、評価・昇給もこの基準で判断させていただきます。」

    👉期待値を先に出すことで不満が出てしまう

    ⑧最後の締め(モチベーション)

    締めの一言テンプレ「今いるということは、正しく評価に継続しています。「次はここを一緒にクリアしましょう。」

    👉

    「見ている」「評価している」これが伝われば人は動きます。面談NG集(絶対やらない)

    ❌人間評価

    ❌他人との比較

    ❌解決な指摘

    ❌感情での叱責まとめ|評価面談は「育成の設計図」レベル

    評価表 → 買う面談 → 次の一歩教育 → レベルアップ昇給・役割 → 納得感

    👉評価は罰ではなく、成長の道しるべ

    まとめ|教育→評価→人財化は一本の線で考える

    教育が続く現場では、

    次のことが集中しています。

    教育は計画で作業標準を軸にする

    見える化する

    評価につなげる

    任せて人財化する

    教育・評価・人財化は、

    明確にして考えるものではありません。

    一本の線でつながったとき、

    現場は確実に変わり始めます。

  • 「人は宝」教育で人は人財になる

    作業標準を軸にした現場教育と評価の考え方

    人は宝だが、育てなければ力にならない

    「人は宝」「人財が大事」

    多くの会社で聞ける言葉です。

    しかし現場では、

    • 頑張っても評価されない人
    • 何を頑張ればいいのか分からない人
    • 給料の分だけ働けばいいと思っている人

    など、さまざまな価値観を持つ人が働いています。100人いれば、100人の個性があります。

    しかし、問題は、人ではありません。

    人を活かすための「教育」と「評価の物差し」が現場に用意されていないことです。

    私は50人規模の製造現場で品質管理・現場改善に携わる中で、

    作業標準を軸にした教育と評価が、人を「作業者」から「人財」に変えると実感してきました。

    この記事では、

    • 作業標準を使ったレベル分け
    • 管理者と作業者が納得できる評価
    • 現場で本当に役立つ教育のやり方

    を実体験ベースで解説します。

    第1章|なぜ人は評価に不満を持つのか

    現場でよくある声です。

    • 給料の分だけ働けばいいと思う人
    • 成果を出せる給与が上がると思う人
    • 頑張っても会社に認められない人
    • 正しく評価されていないと感じる人

    会社の評価方法は会社ごとに違います。

    しかし多くの現場で共通しているのは、

    評価基準が曖昧

    評価が感覚的

    という点です。

    評価の物差しがなければ、

    人は何を目指せばいいのかわかりません。

    第2章|作業標準は「教育」と「評価」の基準になる

    作業標準は、

    「作業のやり方」ではありません。

    • 教育の基準
    • 評価の基準
    • 成長の目安

    になります。

    作業標準があることで、

    「できている/できていない」

    「何が足りないか」

    を明確にできます。

    第3章|作業標準を軸にしたレベル分け(人財育成の段階)

    レベル1|作業標準を理解できない、品質が保てない人

    以下のような人を対象者とします。

    • 作業が自己流
    • 品質にばらつきが出る
    • 何も分からない

    つまり、

    👉基礎教育が必要

    レベル2|作業標準通りに作業できるが、時間がかかる人

    以下のような人を対象者とします。

    • 品質は安定している
    • 標準時間を守れない

    つまり、

    👉作業理解はOK、訓練が必要

    レベル3|作業標準・標準時間を満たせる人

    以下のような人を対象者とします。

    • 正しい作業ができる
    • 標準時間内で完了できる

    つまり、

    👉一人前

    レベル4|品質・時間共に安定し、改善意識がある人

    以下のような人を対象者とします。

    • 標準以上の成果を上げることができる
    • ムダに気づける

    つまり、

    👉現場の中核人材

    レベル5|人に教えられる人

    以下のような人を対象者とします。

    • 作業標準を理解して実行できる
    • 教育ができる
    • 安定して成果を出す

    つまり、

    👉人財

    このレベル分けにより、

    管理者は「何を教育すべきか」が分かる

    本人も「自分に何が足りないか」がわかる

    ようになります。

    第4章|評価項目には「一般常識」も含める

    評価は作業だけではありません。

    • 挨拶
    • 報連相
    • 時間を守る
    • ルールを守る

    これらの一般常識は、

    「本人任せ」にせず、教えるものです。

    評価項目として明確にし、

    教育の対象に含めることで、

    現場の秩序と信頼関係が保たれます。

    第5章|教育・訓練は計画的に行う

    教育や訓練は、

    思いつきで行うものではありません。

    • 教育計画
    • 訓練計画

    は、会社の経営方針・品質方針に基づいて立案されるべきです。経営方針が変われば、

    必要な人材・スキルも変わります。

    人材は、常に更新され続ける存在

    である必要があります。

    第6章|現場で使える具体的な教育方法

    教育は「気合」ではなく、仕組みです。

    使う教育ツール

    • 作業標準書
    • 動画
    • 写真
    • OK/NG見本
    • 設備・治具
    • 道具

    教え方の基本

    「やってみせ

    言って聞かせて

    させてみせ

    ほめてやればねば

    人は動かじ」

    どこかの著名人の言葉です。

    一方的に教えるのではなく、

    一緒にやり、できたことを認める

    これが人を育てます。

    第7章|管理監督の役割

    管理監督の役割は、

    人を責めることではありません。

    • 何が足りないかを明確にする
    • 教育の場を用意する
    • 成長を見える形で示す

    作業標準とレベル分けは、

    そのための共通言語です。

    まとめ|人は教育で人財になる

    人は、それぞれ違います。

    だからこそ、

    • 共通の基準(作業標準)
    • 共通の評価(レベル分け)
    • 計画的な教育

    が必要です。

    作業標準は、

    人を縛るためのものではありません。

    人を育て、守り、活かすための道具です。

    教育によって人は育ち、

    人が育てば、現場は必ず強くなります。

  • なぜ標準作業と見える化で品質が安定する工場ができるのか   

    ― QC工程表から始める現場管理の基本 ―

    なぜ同じ不良が何度も起きるのか

    作業手順は教えている。

    注意もしている。

    それでも、

    人によってやり方が違い、

    品質が安定しない。

    こうした悩みを抱える工場は、決して少なくありません。

    しかし、

    問題は作業者の能力や意識ではありません。

    標準作業と見える化が不足している。

    ただ、それだけです。

    50人規模の製造現場で品質管理に携わる中で、

    私は何度も

    「標準がない現場では、品質は管理できない」

    という現実を突きつけられてきました。

    この記事では、

    なぜ標準作業が守られないのか、

    そしてQC工程表を軸に、

    現場で本当に機能する標準作業と見える化の進め方を、

    実体験をもとに解説します。

    第1章|標準作業がない現場で起きていること

    標準作業がない現場では、次のような状態が当たり前になります。

    • 作業者ごとにやり方が違う
    • 良し悪しの判断基準がない
    • 不良が出ても原因が特定できない
    • 指導が感覚や経験頼みになる

    この状態では、品質を安定させることはできません。

    なぜなら、

    「何を、どこまで、どう管理するのか」が決まっていないからです。

    標準がないということは、

    つまり管理できない状態である、ということなのです。

    第2章|なぜ標準作業は作っても守られないのか

    「標準は作ったが、守られていない」

    多くの現場で聞く言葉です。

    その原因は、作業者ではありません。

    • 実際の作業と合っていない
    • 紙に書いてあるだけで現場に置かれていない
    • 守れなくても問題にならない

    このような標準は、

    存在していないのと同じです。

    標準が守られないのは、

    意識の問題ではなく、

    守れる仕組みができていないだけなのです。

    第3章|標準作業とは何か(QC工程表の考え方)

    標準作業とは、

    最も安全で、品質が安定し、

    誰が作業しても同じ結果になる方法を一つに決めたものです。

    ここで重要になるのが、QC工程表の考え方です。

    QC工程表では、各工程ごとに次のことを明確にします。

    • 工程の目的(狙い値・出来栄え)
    • 管理するポイント(管理値)
    • 誰が管理するのか(人)
    • どうやって行うのか(方法・手順書・標準書)
    • 使用する材料
    • 使用する設備・道具

    これを工程の順序に沿って整理することで、

    **「どこで・何を・どう管理するのか」**が見えるようになります。

    (例)QC工程表-組み立て作業-

    工程狙い(出来栄え)管理ポイント基準方法
    組付正しい向きで組付部品方向見本通り目視作業者
    締付規定トルクトルク5±0.5N・m測定作業者

    工程ごとに「管理する理由」が一目で分かる ことが重要です。

    各列の意味(現場説明用)

    工程名

    ・誰が見ても分かる名称

    ・作業内容と混同しない

    狙い・出来栄え(目的)

    ・「この工程で何を守りたいか」

    ・品質を工程で作る意識づけ

    管理ポイント

    ・品質に影響するポイントのみ

    ※全部書かない(重要)

    管理値・基準

    ・数値・見本・状態で明確化

    ・曖昧な表現はNG

    管理方法

    ・目視/測定/チェック

    ・誰でも同じ判断ができる方法

    管理する人

    ・責任の所在を明確に

    ・「みんな」は禁止

    以下の管理項目を加えるとさらに管理しやすくなります。

    使用材料

    ・間違えやすい材料ほど記載

    使用設備・治具

    ・品質に影響する設備は必須

    標準書・手順書

    ・紐づけがない工程表は形骸化する

    異常時の対応

    ・「確認します」はNG

    ・止める/報告する/再作業など明確に

    👉

    「工程 × 管理」の関係が一目で伝わります。

    Excelで使うときの実践ポイント(重要)

    • 最初から全部作らない
    • 不良が出ている工程から1工程ずつ作る
    • 作業者と一緒に作る(管理者だけで作らない)

    作ったら必ず

    • 現場掲示
    • 見える化
    • 守られているか確認

    QC工程表は書類ではありません。

    工程で品質を作り、不良を減らすための「現場の設計図」です。

    第4章|現場で機能する標準作業の作り方(実体験)

    私が実際に行った手順は、とてもシンプルです。

    • 実際の作業を現場で観察する
    • 作業を工程ごとに細かく分解する
    • 品質に影響するポイントを絞る
    • 管理すべき値や状態を決める
    • 写真や図で分かる形にする
    • 誰でもできるレベルまで落とし込む
    • または、出来るまで教え込む

    このとき重要なのは、

    完璧な標準を最初から作らないことです。

    QC工程表も、標準作業も、

    まずは一工程から。

    小さく作り、使いながら直す。

    これが、現場で定着する唯一の方法です。

    第5章|見える化がないと標準は守られない

    標準作業は、

    見えなければ守られません。

    • 手順が分からない
    • ズレても気づけない
    • 指摘が人に依存する

    これでは、標準は形だけのものになります。

    見える化とは、

    ズレや異常が自然と目に入る状態を作ることです。

    QC工程表で決めた管理ポイントを、

    現場で「見える形」に落とし込むことが重要です。

    第6章|見える化の具体例(50人規模現場)

    実際の現場では、次のような見える化を行いました。

    • 定位置・定量・定方向の明確化
    • 作業手順・標準書の掲示
    • OK/NG見本の設置
    • チェック表による工程内確認
    • 異常が一目で分かる表示や色分け

    これにより、

    注意しなくても

    作業者自身がズレに気づける現場に変わっていきました。

    第7章|管理監督者がやるべき役割

    標準作業と見える化を定着させるには、

    管理監督者の関わり方が欠かせません。

    • 守らせるのではなく、守れる形にする
    • 守れたことを褒める
    • ズレや不良を責めない
    • 標準を定期的に見直す、見直しがやり易い雰囲気を作る
    • 作業者から出た見直し案を否定しない、まず机上にのせること

    標準は、一度作って終わりではありません。

    現場が変われば、

    工程も、設備も、人も変わります。

    更新し続けてこそ、標準は生きたものになります。

    まとめ|標準作業と見える化が品質を支える

    品質が安定しない原因は、

    人ではなく、

    管理の仕組みにあります。

    • 標準がなければ判断できない
    • 見える化がなければ守れない

    この2つがそろって、

    はじめて品質は安定します。

    標準作業と見える化は、

    現場を縛るためのものではありません。

    現場を守り、品質を守るための仕組みなのです。

  • なぜ不良が減らないのか?|50人規模の現場で見えた本当の原因

    なぜ不良は「いつまでも減らない」のか

    不良対策はやっている。

    検査もしている。

    対策書も作っている。

    それでも、

    不良がなかなか減らない。

    おなじような不良が、

    何度も繰り返し発生する。

    50人規模の製造現場で

    長年の品質管理に関わる中で、

    私はこの状況を何度も見てきました。

    実は、

    不良が減らない工場には

    はっきりとした共通点があります。

    それは、作業者の技量や意識の問題ではなく、

    管理の考え方と仕組みの問題です。

    この記事では、

    不良が減らない工場に共通する管理ミスと、

    現場で実際に気付いた改善の視点を、

    実体験をもとに解説します。

    第1章|工程内で品質を作っていない

    不良が減らない工場の最大の特徴は、

    品質を工程で作っていないことです。

    最終検査だけが「検査」になっている

    多くの現場で、

    • 工程内検査が行われていない
    • 検査=最終検査になっている

    という状態が見られます。

    この場合、

    最終検査は「不良を見つける場所」には、「不良を減らす場所」にはなりません。

    品質は、

    工程で作り込むものです。

    第2章|不良の発生原因が解消されないままになっている

    不良が発生したとき、

    • 原因が特定されていない
    • なぜ起きたかが曖昧

    というケースは非常に多いです。

    その結果、対策は次のようになります。

    • 「確認します」
    • 「気をつけます」

    これでは、同じ不良が再発するのは当然です。

    原因がわからなければ、有効な対策は立てられません。

    第3章|作業が自己流・我流になっている

    工程内作業で、

    • 人によってやり方が違う
    • 教わった方法がバラバラ

    こうした状態が続くと、品質は安定しません。

    標準・基準が存在しない

    不良が減らない工場では、

    • 作業標準がない
    • あっても守られていない

    という共通点があります。

    「今までこれで問題なかった」

    という考えが、

    改善を止めてしまいます。

    第4章|工程内で問題を解決しようとしない

    不良が発生しても、

    • 次から確認します
    • 次は気をつけます

    で終わってしまう。

    これは、

    工程内で問題を解決する意識がない

    状態です。

    本来は、

    • なぜ工程で止められなかったのか
    • どこで異常に気づけたのか

    を考える必要があります。

    第5章|管理監督者が「品質は工程で作られる」とは理解していない

    不良が減らない現場では、

    管理監督者レベルで、

    「品質は検査が守るもの」

    という認識が残っています。

    しかし実際には、

    品質は工程で作られ、

    検査は確認にすぎません。

    この認識がなければ、工程改善はありません。

    第6章|責任の所在が曖昧になっている

    不良が発生すると、

    • 作業者が悪い
    • 設備が悪い
    • 他部署が悪い

    になりがちです。

    また、

    • 部署長に問題が報告されない
    • 現場で止まってしまう

    というケースも多く見られます。

    これは、

    自己責任の考え方がなく、仕組みで管理できていない状態です。

    第7章|不良は「悪」ではないという考え方

    ここで、最も重要な考え方があります。

    品質不良は悪ではありません。

    不良は、改善の糸口です。

    管理監督者は、

    • 不良を責めない
    • 現状を正しく把握する
    • 改善の方法を一緒に考える

    この姿勢を持つ必要があります。

    不良を隠す現場では、品質は決して良くなりません。

    まとめ|不良が減らないのは「管理の問題」

    不良が減らない工場には、

    • 工程内検査がない
    • 原因が特定されていない
    • 標準・基準がない
    • 工程内で改善しない
    • 管理監督者の認識不足

    という共通点がありました。

    不良対策に必要なのは、

    根性論でも、

    作業者への叱責でもありません。

    品質は工程で作る

    この原点に立ち返り、

    管理の仕組みを見直すこと。

    それが、不良を最小限に抑える最短ルートです。

  • 3Sから始める業務改善|なぜ「5S」は現場で失敗するのか?

    第1章|多くの現場で5Sが続かない理由

    私がこれまで多くの製造現場を見てきた中で、
    5S活動が続かない工場には、いくつかの共通点があると感じてきました。

    そして、
    どれか一つでも当てはまる場合、5Sは高い確率で形骸化します。


    共通点① いきなり「5S」から始めている

    まず、最も多かったのが、
    整理・整頓・清掃ができていない状態のまま、いきなり5Sを始めているケースです。

    たとえば、

    • 不要な物が残ったまま
    • 置き場所が決まっていない
    • 掃除の基準が人によって違う

    このような状態で、
    「清潔を保とう」
    「しつけを徹底しよう」
    と言っても、しかし、続くはずがありません。

    なぜなら、
    土台ができていないまま、ルールだけを増やしている状態だからです。

    つまり、5S以前の準備不足が原因なのです。


    共通点② 目的が共有されていない

    次に多いのが、5Sの目的が共有されていないことです。

    「なぜ5Sをやるのか」
    この問いに対して、はっきり答えられない現場の人も多くいました。

    その際、よく聞いた言葉は次のようなものです。

    • 上から言われたから
    • 監査があるから
    • 他社がやっているから

    このような状態では、
    5Sは“やらされ仕事”になってしまいます。

    そして、
    やらされ仕事は、必ず元に戻ります。


    共通点③ 正しい状態が決まっていない

    また、5Sが続かない工場では、
    何が正しい状態なのかが明確に決まっていません。

    その結果、

    • どこに置けば良いのか分からない
    • どこまで掃除すれば良いのか分からない
    • 人によって判断が違う

    といった状態が生まれます。

    さらに、
    注意されるたびに基準が変わるため、
    現場は次第に疲弊していきます。


    共通点④ チェックと振り返りがない

    最初は、誰しも頑張って取り組みます。
    しかし、やったかどうかを確認する仕組みがない現場も多くあります。

    たとえば、

    • チェック表が形だけ
    • 振り返りをしない
    • 良くなったか分からない

    この状態では、
    「やらなくても何も言われない」状況になります。

    そのため、
    5Sは少しずつやられなくなっていきます。


    共通点⑤ 人の問題にしてしまう

    最後に多いのが、
    続かない原因を人の問題にしてしまうことです。

    • 若手がだらしない
    • ベテランが変わらない
    • 忙しくて余裕がない

    確かに、そう見えることもあります。
    しかし、5Sが続かない原因のほとんどは、人ではありません。

    つまり、
    問題は「仕組み」にあります。


    共通点のまとめ

    以上を整理すると、
    5Sが続かない工場では次の状態が重なっています。

    • 土台ができていない
    • 目的が共有されていない
    • 正しい状態が決まっていない
    • 守る仕組みがない

    この状態で、
    「気合」「意識」「根性」を求めても、
    しかし、5Sは続きません。


    第2章|徹底3S(整理・整頓・清掃)の本当のやり方【実体験】

    私が業務改善で最初に徹底したのは、
    **「とにかく3Sを中途半端にしないこと」**でした。

    なぜなら、
    3Sは簡単そうに見えますが、
    基準を決めずに進めると、必ず形骸化するからです。

    そのため、私は最初に3Sの考え方そのものを見直しました。


    整理とは「分けること」から始まる

    まず、整理とは単に捨てることではありません。
    むしろ、分けることから始まります。

    そこで私は、
    現場にあるすべてのものを、次の3つに分けました。

    • 「いるもの」
    • 「いらないもの」
    • 「いるかもしれないもの」

    ここで重要なのは、
    この「いるかもしれないもの」を曖昧にしないことです。

    なぜなら、
    ここが曖昧になると、整理は必ず失敗するからです。


    いるものの判断基準は「使用頻度」

    次に、「いるもの」については、
    時間・日数・使用頻度でさらに分類しました。

    具体的には、

    • 毎日使うもの
    • 週に数回使うもの
    • 月に数回使うもの

    このように分けました。

    そして、
    使う頻度が高いものほど手元に置く。
    逆に、
    使う頻度が低いものほど自分から遠ざける。

    その結果、
    探す時間・動く距離・無駄な作業が、
    一気に減りました。


    整頓とは「決めて、誰が見ても分かる状態にすること」

    次に整頓です。
    しかし、整頓は「きれいに並べること」ではありません。

    つまり、
    ルールを決め、ズレたらすぐ分かる状態にすることです。

    そのため私は、
    「いるもの」と「いるかもしれないもの」すべてに対して、
    次の5つを必ず決めました。


    定位置

    まず、定められた場所に置くことです。
    押しても引いても動かない状態にしました。
    その結果、もし動けばすぐに分かります。

    定量

    次に、定められた数だけあることです。
    工具や備品にはナンバリングを行い、
    1つ欠けても分かる状態にしました。

    定方向

    さらに、定められた方向に置くことです。
    向きがずれただけで、
    見ただけで違和感を感じられる状態を作りました。

    表示

    また、その「もの」が何か分かる表示を付けました。
    誰が見ても迷わないことを条件にしています。

    標識

    最後に、その「場所」が何の場所かを示しました。
    つまり、
    覚えなくても、見れば分かる状態です。


    清掃とは「掃除」ではなく「異常に気づくこと」

    一方で、清掃についても誤解されがちです。
    しかし、清掃の目的は「きれいにすること」ではありません。

    私が徹底した清掃の基準は、次の3つです。

    • チリなし
    • ホコリなし
    • 汚れなし

    この状態を常に保つことで、
    油漏れ・傷・緩み・異音など、
    小さな異常にもすぐ気づけるようになりました。

    そのため、清掃は、
    最も簡単で、かつ最も効果の高い点検活動だと感じています。


    3Sは「全部そろって初めて意味を持つ」

    整理・整頓・清掃は、
    どれか一つでも欠けると機能しません。

    しかし、
    3つがそろったとき、
    初めて現場は変わり始めます。

    そして、この3Sがしっかりと土台にあったからこそ、
    QC活動やISO9001の運用も、
    形骸化せずに定着させることができました。


     第3章「3Sをやらずに5Sをやると起きる現場の悲劇」

    まず、3Sを十分にやらないまま5Sに進むと、
    現場では決まって同じことが起こります。

    実際に、
    私自身、過去に何度もその失敗を見てきました。


    掲示物とルールだけが増えていく

    5Sを始めると、
    たとえば標語、ルール、チェック表、写真など、
    とにかく掲示物が増えていきます。

    しかし、
    整理ができていない現場では、
    そもそも不要なものが残ったままです。

    そのため、
    見た目だけを整えても、
    中身は何も変わっていません。

    結果として、
    守れないルールが増え、
    現場は次第に疲弊していきます。


    元に戻るのが当たり前になる

    5S活動の直後は、
    確かに一時的にきれいになります。

    しかし、
    数日もすれば元通りです。

    なぜなら、
    「捨てる」「減らす」という
    整理が終わっていないからです。

    つまり、
    物が多いままでは、
    どれだけ整頓しても、必ず崩れます。


    守れない人が悪者になる

    そして、
    5Sが形骸化すると、
    活動の矛先は「人」に向きます。

    たとえば、

    • なぜ守らないのか
    • なぜ元に戻さないのか

    といった指摘が増えます。

    しかし、
    仕組みが悪いのに、人のせいにされる。

    この状態こそが、
    現場のやる気を一気に奪います。


    改善より管理が増える

    さらに、
    3Sができていない現場では、
    5Sは改善活動ではなく管理活動になります。

    具体的には、

    • 注意
    • 指摘
    • チェック

    が増えていきます。

    その結果、
    これらが増えるほど、
    現場は5Sから距離を置くようになります。


    5Sは「結果」であって「目的」ではない

    本来、
    5Sは「躾(しつけ)」を含めた
    結果として現れる姿です。

    そのため、
    3Sが定着していれば、
    自然と守られ、
    特別な管理は不要になります。


    私が学んだ教訓

    結論として、
    いきなり5Sをやると、
    現場は必ず疲れます。

    だからこそ、
    先にやるべきは、
    徹底した3Sです。

    つまり、
    捨てる・揃える・気づく。

    これができて初めて、
    5Sは意味を持ちます。


    第4章3Sを現場に定着させる進め方【実体験】

    3Sを定着させるために、
    私たちが最初に取り組んだのは、トイレ清掃でした。

    なぜなら、
    トイレは部署や立場に関係なく、
    全員が使う共有スペースだからです。

    そして、
    ここがきれいにならなければ、
    現場全体の3Sは絶対に定着しないと考えました。


    まず役職者全員で取り組む

    しかし、
    最初から全員参加にはしませんでした。

    そこで、
    まずは各部門の役職者が率先して行うことにしました。

    なぜなら、
    「3Sは大事だ」と言葉で言うだけでは、
    現場には伝わらないからです。

    実際に、
    自ら手を動かす姿を見せることが、
    現場を動かす第一歩になりました。


    清掃場所を細かく分け、道具を準備する

    次に、
    トイレ清掃といっても、
    「きれいにする」だけでは曖昧すぎると考えました。

    そのため、

    • 便器
    • 手洗い場
    • ドア・取っ手

    など、
    どこを掃除するのかを細かく分解しました。

    さらに、
    清掃に必要な道具をすべて事前に準備しました。

    これは、
    「道具がないからできない」
    という言い訳をなくすためです。


    清掃の基準を明確にする

    また、
    清掃の基準は多くしすぎず、
    次の4つだけに絞りました。

    • チリなし
    • ホコリなし
    • 汚れなし
    • ピカピカの状態

    そして、
    役職者全員で集まり、
    この基準に従ってトイレを徹底的に磨き上げました。

    その結果、
    このときに仕上げた状態を
    **「清掃の出来栄え基準」**としました。


    写真で「正しい状態」と「手順」を残す

    さらに、
    磨き上げている途中の様子を、
    清掃の順序に沿って細かく写真撮影しました。

    そして、
    その写真を使って清掃手順書を作成しました。

    具体的には、

    • どこから始めるのか
    • どの道具を使うのか
    • どの順番で行うのか

    を明確にしました。

    あえて、
    清掃手順は細かく決めました。

    なぜなら、
    誰がやっても同じ結果になるようにするためです。


    毎日やること・曜日でやることを分ける

    しかし、
    すべてを毎日やろうとすると、
    必ず続かなくなります。

    そこで、

    • 毎日必ずやる清掃
    • 曜日ごとに行う清掃

    に分けて運用しました。

    その結果、
    無理のない仕組みとなり、
    清掃は「特別な作業」ではなくなりました。


    全員参加・チェックの仕組みを作る

    その後、
    決められた基準と手順に基づき、
    全員参加で毎日トイレ清掃を実施しました。

    さらに、
    清掃を行ったかどうかを確認するため、
    実施チェックリストを作成しました。

    また、
    清掃を行った人が、
    次に清掃する人へチェックをお願いする
    相互確認の仕組みにしました。


    綺麗を維持すると「気づける」ようになる

    このように、
    毎日清掃を続けてきれいな状態を維持すると、
    少しの汚れが目立つようになります。

    そして、
    この「気づける状態」こそが、
    清掃の最大の効果です。

    繰り返すうちに、
    人は自然と
    「汚したくない」
    と思うようになります。


    トイレ清掃から学んだこと

    このトイレ清掃活動を通じて、
    私たちは重要なことに気づきました。

    それは、

    • 現状を正しく把握する
    • 悪いところを正しい状態にする
    • 正しい状態にする方法を決める
    • 実施して守る
    • 守られているかをチェックする

    という流れです。

    つまり、
    これはすべての業務改善に共通する考え方です。


    徹底した清掃は「しつけ」になる

    最後に、
    徹底して清掃を行うことは、
    「しつけ」そのものだと感じました。

    その結果、
    現場は自然と清潔になります。

    そして、
    徹底した3Sは、結果として5Sになる。

    これが、
    私の現場経験から得た結論です。


    第5章|3Sが定着すると5Sは自然に始まる

    まず、
    3Sを徹底すると、
    「5Sをやろう」と言わなくても、現場の行動が変わり始めます。

    なぜなら、
    3Sは日々の作業そのものを変える力があるからです。


    ルールを作らなくても守られる

    3Sが定着した現場では、
    物の置き場・数・向きが明確になっています。

    そのため、
    ズレればすぐに分かり、
    注意しなくても自然と元に戻ります。

    結果として、
    管理のためのルールは増えません。


    注意や指摘が減る

    5Sが形骸化している現場では、
    注意や指摘が日常的に発生します。

    一方で、
    3Sが定着している現場では、
    注意そのものが不要になります。

    なぜなら、
    異常に誰もが気づける状態ができているからです。


    改善が日常業務になる

    また、
    3Sが土台にあると、
    改善は特別な活動ではなくなります。

    具体的には、

    • 探す時間が減る
    • 無駄な動きが減る
    • 異常に早く気づける

    といった効果が現れます。

    そして、
    こうした小さな改善が積み重なることで、
    現場は自然と
    「もっと良くしよう」
    と考えるようになります。


    5Sは「やらされる活動」ではなくなる

    しかし、
    3Sを飛ばして5Sを進めると、
    5Sは管理や統制になってしまいます。

    一方、
    3Sが定着した現場では、
    5Sは自分たちの活動になります。

    つまり、
    誰かに言われるからではなく、
    自分たちがやりたいからやる状態になります。

    この状態になって初めて、
    5Sは本来の意味を持ちます。


    5Sは目的ではなく結果

    結論として、
    私の経験では、
    5Sを目的にすると必ず失敗します。

    本来の目的は、
    仕事をやりやすくすることです。

    そのため、
    3Sはあくまでそのための手段です。

    そして、
    3Sを徹底した結果、
    現場が整い、
    人の行動が変わり、
    その姿が5Sとして現れます。


    まとめ(結論)

    まず、
    業務改善を進めるうえで、
    いきなり5Sから始めてしまうと、多くの現場は疲弊し、形骸化していきます。

    なぜなら、
    5Sは土台が整っていなければ、
    続けることができない活動だからです。

    そのため、
    本当に必要なのは、
    **徹底した3S(整理・整頓・清掃)**です。


    具体的には、
    整理で不要なものを減らし、
    整頓で誰が見ても分かる状態を作り、
    さらに、清掃で異常に気づける現場にします。

    そして、
    この土台があって初めて、
    改善は続くものになります。


    また、
    トイレ清掃から始めた3S活動は、
    単なる掃除ではありません。

    つまり、
    現状を把握し、
    正しい状態を決め、
    その状態を守り、
    守られているかを確認する、
    この一連の流れを現場に習慣として根づかせる取り組みでした。


    その結果、
    徹底した清掃は「しつけ」となり、
    現場は自然と清潔になります。

    そして、
    徹底した3Sは、結果として5Sになる。

    これが、
    私の現場経験から導き出した結論です。


    最後に、
    業務改善に近道はありません。

    しかし、
    3Sという確実な一歩を踏み出せば、現場は必ず変わります。

  • 4M変化管理が形骸化する3つの原因と対策

    1. 4Mとは何か

    まず、4Mとは、品質に影響を与える代表的な4つの要素の頭文字です。

    項目内容具体例
    Man(人)作業者・技能・体制新人配置、技能レベル変更、交代勤務
    Machine(設備)機械・治工具・設備新設備導入、修理後、金型変更
    Material(材料)原材料・部品仕入先変更、材質変更、ロット変更
    Method(方法)作業方法・条件工程変更、作業手順変更、条件変更

    2. 4M変化管理の目的

    • 「いつの間にか変わっていた」を防ぐ
    • 変化起因の不良を未然に防止する
    • トラブル発生時に原因追跡を容易にする

    👉 多くの品質問題は

    「変えたこと」そのものではなく
    **「変えたのに管理しなかったこと」**が原因です。


    3. 4M変化管理の基本的な流れ

    ① 変化点の明確化

    • 何が、いつ、なぜ変わるのか?
    • 4Mのどれに該当するか?

    ② 影響度の評価

    • 品質・安全・納期への影響は?
    • 過去トラブルの有無
    • 重要特性に関係するか?

    (簡易FMEAを使うことも多い)

    ③ 対策の決定

    • 試作・初物確認
    • 条件出し・再設定
    • 教育・再訓練
    • 検査強化・一時的全数検査

    ④ 実施・記録・承認

    • 変更前後を記録
    • 責任者承認
    • 関係部署へ周知

    4. 製造現場での具体例

    例①:人(Man)

    • 新人作業者を配置
      初日は熟練者立会い、初物100%検査

    例②:設備(Machine)

    • 金型修理後の再稼働
      寸法確認+初回ロット全数検査

    例③:材料(Material)

    • 材料メーカー変更
      事前評価+試作確認

    例④:方法(Method)

    • 作業手順短縮の改善
      工程能力再確認(Cp・Cpk)

    5. QC七つ道具との関係

    4M変化管理は考え方・仕組みであり、
    QC七つ道具は分析・見える化の道具です。

    目的使えるQCツール
    変化点洗い出し特性要因図(魚骨図)
    影響度把握パレート図
    変化前後比較ヒストグラム、管理図

    6. よくある失敗例

    • 「小さな変更だから大丈夫」
    • 口頭だけで変更、記録なし
    • 現場だけで判断、品質保証部門未関与

    👉 **「変更=リスク」**という意識が重要です。


    7. ひと言まとめ

    4M変化管理とは、
    変化を敵にせず、味方につけるための品質の保険

    知っているけど使っていない場合は、
    まずは**「変更があったら書く」**だけでも効果があります。

    4M変化管理が形骸化してしまうのか。

    3つの原因と対策をまとめました。

    正義のためだけにしない現場運用

    4M変化管理はやってるようになっている

    しかし実際は「チェックしているだけ」変更管理票は埋まっていますが、事故・不良は減らない監査前だけ動く4M管理への違和感なぜ4M変化管理は形骸化するのか?

    👉この記事でわかること

    原因①

    4M変化の「変化」の定義が解消よくある現場の状態変化なのかわからない設備更新・人の入替だけが変化と思っている小さな変化は漏れているなぜ形骸化するのか判断基準が人によって違う「これも書くの?」という迷い結果として何も書かれなくなる

    対策①

    「変化の具体例」を明文化する人:作業員交代、技能差、応援作業機械:治具変更、設定変更、修理後材料:ロット変更、仕入先変更方法:作業手順変更、段取り変更

    👉迷わず判断できる状態を作る

    原因②

    書くだけで終わっているよくある現場の状態変更管理票は提出して終わり見直し・確認ができない問題が起きても大丈夫なぜ形骸化するのか書くことが目的になっている効果が見えないやっている意味が分からない

    対策②

    「確認」と「結果」を必ずセットする変化後に不良は出たか作業は難しかった結果を一言で良いので記録問題がなければ「問題なし」も素晴らしい結果

    👉変化管理=予防活動であることを共有

    原因③

    責任の所在が免除されるよくある現場の状態誰が判断するのかわからない書いても何も起きないその後、担当者任せなぜ形骸化するのか判断権限が決まっていない主役が関与しないフィードバックがない

    対策③

    「判断者」と「確認者」を明確にする変化の判断者実施の責任者確認・承認者

    👉最低でもこの3点を決める

    4M変化管理を定着させるために実際にやったこと

    4M変化管理を「雄弁にしなかった」理由

    最初に決めたことがあります。

    4M変化管理を語らない

    「ISOでは〜」「ルールでは〜」と言った瞬間、 現場の空気は冷えます。

    だから私は、

    • 教育資料を作らない
    • スライド説明をしない
    • 4Mという言葉すら使わない

    代わりにやったのは、紙1枚だけでした。


    紙1枚の変化管理シート【5分で書ける】

    用意したのはA4・1枚。 名前もあえてシンプルにしました。

    「ちょっと変えたメモ」

    書くのは、たったこれだけ。

    • 今日、何を変えたか
    • 変えた理由
    • 心配なこと(あれば)
    • 見た人(管理職)のサイン

    4Mの区分? 書かせません。

    👉 読む側が勝手に4Mで考える

    これがポイントでした。


    チェック項目は「心配」を書かせる

    多くの4M変化管理は、

    • 影響:有・無
    • 問題なし

    で終わります。

    それをやめました。

    代わりに入れた一文

    「正直、ちょっと心配な点」

    • 新人だから段取りミスしないか
    • 材料が少し硬い気がする
    • 音が前と違う

    曖昧でOK。 正解も不要。

    👉 これがQC活動の種になります。


    QC活動は「問題が出てから」では遅い

    心配が3件たまったら、

    • なぜ心配なのか?
    • 過去に同じことはなかったか?

    を、5分だけ話します。

    • 特性要因図? 使いません
    • パレート図? 作りません

    ホワイトボードに殴り書きです。

    👉 小さなQC活動を日常に混ぜる

    これだけで、 「問題が起きたらQC」から 「起きる前にQC」へ変わりました。


    3S活動と4M変化管理は相性がいい

    3S(整理・整頓・清掃)をやっている会社なら、 4M変化管理は連携しないと損です。

    実際にやったこと

    • 置き場変更 → ちょっと変えたメモ
    • 治工具更新 → ちょっと変えたメモ
    • 表示変更 → ちょっと変えたメモ

    3Sの「変えた」は、 そのまま4Mの変えたです。

    👉 改善と管理を分けない

    これが定着の分かれ道でした。


    管理職が必ず目を覚ます仕組み

    管理職が動かない理由はシンプルです。

    • 問題が見えない
    • 自分に関係あると感じない

    そこでやったのは、

    「サインしないと流れない」ルール

    • 変えたメモは必ず管理職が目を通す
    • OKでもNGでもコメント必須

    最初は面倒そうでした。

    でも、

    「こんなに変わってたのか…」

    という一言が出てから、 管理職の視点が変わりました。

    👉 責任ではなく“気づき”を渡す

    これが効きました。


    問題が起きたら「受け止めない」

    トラブル発生時、 やりがちなのがこれです。

    • 反省会
    • なぜなぜ
    • 再発防止書

    それをやめました。

    最初にやる質問は一つ

    「これ、変化管理で拾えた?」

    • 拾えてた → 管理が甘かった
    • 拾えてない → 見方が甘かった

    人は責めません。

    👉 仕組みだけを直す

    この空気ができてから、 現場は隠さなくなりました。


    50人規模だからできたこと

    大企業のような

    • 厳密な承認フロー
    • 分厚い手順書

    は不要でした。

    代わりに必要だったのは、

    • 紙1枚
    • 5分
    • 心配を書く勇気

    これだけです。


    まとめ|4M変化管理は「文化」

    4M変化管理を定着させた結果、

    • 不具合の初動が早くなった
    • 管理職が現場を見るようになった
    • 改善が責められなくなった

    何より、

    「変えてもいい。でも黙って変えるな」

    この文化が残りました。

    4M変化管理は、 ルールでもISO対応でもありません。

    現場が安心して改善できるための空気づくりです。

    もし今、形骸化しているなら、 まずは紙1枚から始めてみてください。(実体験)変化管理を雄弁しなかった紙1枚、チェック項目心配QC活動・3S活動と連携管理職が必ず目を覚ます仕組み問題が起きたら受け止めずに改善へつなぐ

  • QC7つ道具は現場でこう使う|机上の空論にしない方法

    QC7つ道具は知っているけど、使っていない

    製造現場に関わる皆さんであれば、
    QC7つ道具という言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

    QC七つ道具(きゅーしーななつどうぐ)とは、
    品質管理(Quality Control)や業務改善でよく使われる、
    基本的な7つの分析手法のことです。

    本来は、
    現場で起きている問題を「見える化」し、
    原因を特定し、
    改善につなげるための道具として使われます。


    QC七つ道具の一覧

    まずは、QC七つ道具を簡単に整理します。

    パレート図
    → 問題の重要度を把握する図
    どの不良・原因が多いかを、棒グラフと折れ線で示します。
    (例:不良の8割は2割の原因から)

    特性要因図(魚の骨図)
    → 問題の原因を体系的に整理
    人・機械・方法・材料などに分けて原因を洗い出します。

    ヒストグラム
    → データのばらつきを確認
    測定値がどの範囲に多いかを分布で確認します。

    管理図
    → 工程が安定しているかを監視
    異常が偶然か、異常なのかを判断できます。

    散布図
    → 2つの要素の関係性を確認
    例として、温度と不良率の相関を見るときに使います。

    チェックシート
    → データを簡単に収集
    現場で記録しやすい集計表です。

    層別
    → データを分類して原因を明確化
    人別・時間帯別・機械別などで分けて考えます。

    このように、
    QC7つ道具は「事実とデータで改善するための道具」として、
    多くの人が一度は学んでいるはずです。


    それでも、現場では使われていない

    ところが実際の現場では、
    ほとんど使われていないというのが実情ではないでしょうか。

    使われるのは、品質監査やISO審査の前だけ。
    そのときだけ帳票を整え、グラフを作り、
    審査が終われば元のやり方に戻る。

    その結果、
    「QC7つ道具は現場では使えないもの」
    そう感じている人も少なくありません。

    しかしながら、
    QC7つ道具が役に立たないわけではありません。
    単に、使い方を間違えているだけなのです。


    現場で感じたQC7つ道具の本当の価値

    私自身、製造業の現場で試行錯誤を重ねる中で、
    QC7つ道具は正しく使えば、

    • 現場の負担を減らし
    • 改善につながる

    そんな道具になると実感しました。

    そこで本記事では、
    QC7つ道具を机上の空論で終わらせず、
    現場で本当に使える形にするための考え方と使い方を、
    実体験をもとにお伝えします。


    QC7つ道具は「全部使わなくていい」

    まず大切なのは、
    QC7つ道具をすべて完璧に使う必要はない、という考え方です。

    実際の現場で重要なのは、
    使える道具を、使える形で使うことです。

    振り返ってみると、
    QC7つ道具が形骸化する原因の多くは、
    「全部やらなければならない」という思い込みにありました。

    目的が曖昧なままデータを集めても、
    改善にはつながりません。

    そのため、
    QC7つ道具は不良や問題の優先順位を決め、
    現場で話し合うための共通言語として使ってこそ意味があります。


    QC7つ道具の使い方(おすすめ)

    ここで、私がよく使っていた道具と目的を整理します。

    • ① 情報を集める:チェックシート
    • ② 情報を分ける:層別
    • ③ 情報を絞る:パレート図
    • ④ 考える:特性要因図

    この4つだけでも、
    現場の改善は十分に進められました。


    具体例:キズ不良が多発している場合

    では、「製品にキズ不良が多発している」ケースを例に、
    QC7つ道具の使い方を流れで説明します。

    ① チェックシート

    目的:事実を集める

    まずは感覚ではなく、
    現場で事実を記録します。

    いつ、
    どこで、
    誰が、
    どの機械で、
    発生したのかを明確にします。

    ② 層別

    目的:原因の方向性を見つける

    次に、集めたデータを分類します。

    たとえば、
    作業者別・機械別・時間帯別・ロット別などです。

    その結果、
    「機械A」「夜勤」で多いことが分かりました。

    ③ パレート図

    目的:重要な原因を絞る

    続いて、キズの種類を数えます。

    角キズ、擦りキズ、打痕などを整理すると、
    角キズと擦りキズで全体の75%を占めていることが分かりました。

    このように、
    優先的に対策すべき対象が明確になります。

    ④ 特性要因図(魚骨図)

    目的:原因を洗い出す

    最後に、
    「角キズが多い原因」をテーマに、
    4Mで要因を書き出します。

    ここでは、
    「なぜ?」を繰り返し、
    可能性を出し切ることが重要です。


    不良は悪ではなく、改善のネタ

    こうしてQC7つ道具を絞って使ったことで、
    現場の負担は大きく減り、
    改善のネタ出しがしやすくなりました。

    その中で、
    不良は悪ではなく、改善のヒントである
    という考え方に至りました。


    QC7つ道具が使われない理由

    QC7つ道具が現場で使われない理由は、
    道具そのものではなく、
    使い方と考え方にあります。

    たとえば、
    目的が曖昧なまま使われているケースは非常に多く見られます。

    また、
    データを集めること自体が目的になると、
    「やっても何も変わらない」という印象が残ります。

    さらに、
    全部の道具を使おうとすると、
    QC活動そのものが負担になります。


    現場で本当に使えたQC7つ道具

    私の経験では、
    無理に全部使わないことが、
    QC活動を続ける一番の近道でした。

    特に効果が高かったのは、
    パレート図・特性要因図・チェックシートです。

    一方で、
    ヒストグラムや管理図、散布図は、
    日常管理には無理に使いませんでした。

    「使わない」という判断も、
    現場では重要です。


    QC7つ道具を定着させるコツ

    最後に、
    QC7つ道具を定着させるためのポイントをまとめます。

    1.使えるものを1つだけ使う
    2.A3用紙やホワイトボードで見える化
    3.会議資料にしない
    4.改善につながったら褒める
    5.日常管理の延長として使う
    6.問題が起きた時だけ使うのはNG


    QCは道具ではなく文化

    QC7つ道具は、
    一度教えて終わりではありません。

    使い続けることで、
    「考えること」が習慣になります。

    つまり、
    QCは道具ではなく文化です。

    この考え方が根づいたとき、
    QC活動は自然と現場に定着していきました。


    まとめ

    QC7つ道具は、
    知識として覚えるものではなく、
    現場で使ってこそ意味を持つ道具です。

    すべてを完璧に使う必要はありません。
    目的に合ったものを選び、
    使える形で続けることが重要です。

    QC7つ道具は、
    問題を責めるためのものではなく、
    仕事を良くするための共通言語です。

    日常業務の中で無理なく使い続けることで、
    品質改善は特別な活動ではなく、
    当たり前の仕事の一部になります。


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  • ISO9001認証取得で現場が本当に大変だったこと【実体験】

    はじめに

    ISO9001の認証取得を会社から指示されたとき、正直なところ「また仕事が増えるな」と感じた方も多いのではないでしょうか。

    規格の難しい文言、書類が多い、ルールが細かい、現場が協力してくれない。

    実際、ISO9001は規格の内容よりも「人」と「現場」の問題でつまずくことがほとんどです。

    私自身、製造業の現場でISO9001の認証取得と、その後の維持に長年関わってきましたが、一番苦労したのは規格の理解でも審査対応でもありませんでした。

    私が最初に経験したことですが、

    経営者がこれからISO9001認証が必要だと言い出したこと

    それから経営者による宣言、全社員を前にキックオフ

    外部コンサルによる規格要求事項の説明でした。

    私を含めた全社員???まったく理解不能でした。

    この記事では、ISO9001認証取得の現場で本当に大変だったことを、きれいごと抜きでお話しします。

    大変なことは人でした

    結果から言いますと、

    ISO9001認証取得で一番大変だったのは、規格の理解や書類作成ではありません。

    本当に苦労したのは、現場の考え方や意識を変えていくことでした。

    ルールを作るだけでは品質は良くならず、現場が「自分たちのための仕組み」だと理解して初めてISO9001は機能します。

    だからこそ、認証取得を目指す際は、完璧な書類よりも現場との対話を優先すべきだと私は感じています。

    現場が納得しないまま進めたISOは、必ず形だけのものになります。

    ISO9001を本当に役立つ仕組みにするためには、「守らせるルール」ではなく「使いたくなる仕組み」にすることが欠かせません。

    現場がISO9001に反発した本当の理由

    ISO9001を進める中で、現場が素直に協力してくれない場面は少なくありません。

    その多くは「やる気がない」のではなく、目的や意味が見えていないことが原因でした。

    まず多かったのが、規格そのものが理解できないという声です。

    専門用語が多く、なぜそれを守る必要があるのかが分からないまま進められると、

    現場は「言われたからやるだけ」の状態になります。

    当然、良い結果が見えない活動に対して、積極的になれるはずがありません。

    次に出てくるのが、

    「何のためにやるのか分からない」

    「今のやり方で問題は起きていない」

    という意見です。

    長年同じやり方で仕事をしてきた人ほど、

    「自分はちゃんとやれている」「自分のやり方が最適だ」

    という意識が強く、他人のやり方や全体最適には関心を持ちにくくなります。

    特に中堅層には、変えたくない気持ちが強く表れがちです。

    一方で若年層は、

    「上の顔色をうかがって動く」

    「自分の意見を出さない」

    といった状態になり、結果として誰も主体的に動かなくなります。

    さらに、部署ごとに温度差が生まれるのもISO活動の典型です。

    ある部署は前向きでも、別の部署は完全に他人事。

    全体として足並みが揃わず、活動が空回りしていきます。

    加えて、社内事情を十分に理解しないまま

    あるべき論」だけを語る外部コンサルタントや、

    「言うだけで現場を見ない社長」の存在が、

    現場の不信感を強めてしまうケースもありました。

    極めつけは、

    人的・時間的・予算的な余裕を与えないまま成果だけを求める経営姿勢です。

    これでは、現場がISO9001を「自分のため、会社のため」ではなく

    「押し付けられた仕事」と感じてしまうのも無理はありません。

    「それでも現場を巻き込むために実際にやったこと」

    こうした状況の中でISO9001を形だけの制度にしないためには、

    ある工夫が必要でした。

    外部コンサルの排除

    現場の反発や温度差を前にして、私たちが最初に決断したのは、

    外部コンサルタントに頼るのをやめることでした。

    コンサルの言葉は正論でも、現場の事情や空気感までは理解してもらえず、かえって反発を強めてしまうと感じたからです。

    そこで「自分たちの力でISO9001の認証取得を目指す」方針に切り替えました。

    まず取り組んだのは、自分自身が人に説明できるレベルまで規格を理解することです。

    分からないまま説明すれば、現場に見抜かれます。

    そのため、ISO9001の規格本文をボロボロになるまで読み込み、

    日本語訳だけでなく、原文も英英辞典を使いながら確認しました。

    一文一文の意味を自分なりに噛み砕き、

    「なぜこの要求があるのか」を考え続けました。

    それでも、自分の解釈が本当に正しいのかという不安は残ります。

    そこで、外部の知見を得るために、

    ISO関連のメルマガやメーリングリストに参加し、

    さまざまな立場の人から意見や助言をもらいました。

    複数の考え方に触れることで、独りよがりな解釈にならないよう意識しました。

    経営者に理解してもらう

    次に行ったのが、規格の解釈と、それが会社業務にどう良い影響を与えるのかを、経営者層に何度も説明することです。

    経営者はお金、人、時間に多く費やすことを良く思いません。

    一度説明して終わりではなく、

    理解してもらえるまで、言い方や切り口を変えて繰り返しました。

    ISO9001を「負担」ではなく「経営に役立つ仕組み」として捉えてもらうことが目的でした。

    その上で、社内向けに規格を噛み砕いた品質マニュアルを作成しました。

    規格をそのまま写すのではなく、

    「自社では何をすればよいのか」が分かる内容に落とし込みました。

    あわせて業務分掌を整理し、各部署の役割と責任を明確化しました。

    各部署の責任者に対しては、

    「規格上、社内で何を行う必要があるのか」

    「それを誰が担うのか」

    を具体的に説明し、指示を出しました。

    このとき意識したのは、自分自身が旗振り役になることです。

    人に任せきりにせず、先頭に立って動きました。

    特に重視したのは、

    まず経営者層と部署長に理解してもらうことでした。

    現場より先に、決裁と影響力を持つ層の認識を揃えることで、

    社内のブレを減らせると考えたからです。

    理解者は全員である必要はない

        「やらされ仕事から現場で使う仕組み」へ

    理解者は、最初から全員を目指しませんでした。

    まず部署長3人の理解者を作る。

    その3人がそれぞれ1人ずつ指導し、理解者を6人に増やす。

    さらに、理解者6人がそれぞれ3人ずつ指導する。

    こうして、理解の裾野を少しずつ広げていきました。

    一気に変えようとせず、

    「分かる人を増やす」ことに集中したことが、

    結果的に現場を巻き込む一番の近道だったと感じています。

    こうした取り組みを続けた結果、

    ISO9001は「やらされ仕事」から「現場で使う仕組み」へと変わっていきました。

    ISO9001が形骸化せず定着した理由

    ISO9001が形だけの仕組みで終わらなかった最大の理由は、

    **「やれることを、やれる形で、やり切った」**ことにあると思っています。

    特別なことをしたわけではありません。

    やっていることをやった、できることを積み重ねただけです。

    まず意識したのは、できる人に任せるという考え方でした。

    全員に同じレベルを求めるのではなく、

    理解できる人、動ける人にまずやってもらう。

    そして、その人には権限や役割(資格)をきちんと与えることで、

    迷わず動ける環境を整えました。

    次に徹底したのが、できるだけ簡単にすることです。

    帳票やルールは、複雑になった瞬間に使われなくなります。

    「これなら現場でできる」と思えるレベルまで、

    何度も見直し、削り、簡素化しました。

    また、成果が見える仕組みを意識しました。

    やったかどうかではなく、

    「何がどう良くなったのか」が分かるようにする。

    不良が減った、手戻りが減った、探す時間が減った。

    小さな変化でも、見える形にしました。

    成果が出たときは、必ず褒め、評価することも欠かしませんでした。

    ISO活動を「嫌々やる仕事」にせず、

    「やってよかった」と感じてもらうことで、次の行動につなげるためです。

    一方で、やれていないこと、やれなかったことも隠しませんでした。

    できなかった事実を明らかにし、

    それを誰か一人の責任にすることはしません。

    「なぜできなかったのか」を全員で共有し、課題として扱う。

    この姿勢が、現場の安心感と信頼につながったと感じています。

    徹底した3S

    こうした定着活動の土台として行っていたのが、3S活動です。

    整理・整頓・清掃を徹底するという基本わ考えとしてできれば、どんな仕組みも現場で回すことができます。

    3Sを徹底することで、

    「決めたことを守る」

    「決めた通りにやる」

    という文化が根づいていきました。

    なお、3S活動については別の章で詳しく説明します。

    ISO9001を定着だけでなく、現場改善、品質改善を行う上で、欠かせない要素だからです。

    まとめ ISO9001は目的ではない、手段です

    ISO9001認証取得は、決して楽な取り組みではありません。

    書類作成や審査対応よりも、人の考え方や現場の文化を変えていくことのほうが、はるかに大きな壁になります。

    それでも、規格の意味を理解し、現場の実情に合わせて落とし込み、

    できることから一つずつ積み重ねていけば、

    ISO9001は「やらされ仕事」ではなく

    現場で役立つ仕組みに変わっていきます。

    重要なのは、完璧を目指さないこと、

    できないことを責めないこと、

    そして成果をきちんと共有することです。

    小さな改善の積み重ねが、

    結果として品質の安定と信頼につながります。

    ISO9001は目的ではなく手段です。

    自社の仕事をより良くするための道具として、

    無理のない形で使い続けていく。

    それが、長く続く品質マネジメントへの近道だと、

    40年製造業の現場に関わってきた経験から強く感じています。

    次回は、現場改善、品質管理の土台

    「3S活動を現場に根付かせた具体的な進め方」

    について、もう少し踏み込んで書いていきます

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