― QC工程表から始める現場管理の基本 ―
Contents
なぜ同じ不良が何度も起きるのか
作業手順は教えている。
注意もしている。
それでも、
人によってやり方が違い、
品質が安定しない。
こうした悩みを抱える工場は、決して少なくありません。
しかし、
問題は作業者の能力や意識ではありません。
標準作業と見える化が不足している。
ただ、それだけです。
50人規模の製造現場で品質管理に携わる中で、
私は何度も
「標準がない現場では、品質は管理できない」
という現実を突きつけられてきました。
この記事では、
なぜ標準作業が守られないのか、
そしてQC工程表を軸に、
現場で本当に機能する標準作業と見える化の進め方を、
実体験をもとに解説します。
第1章|標準作業がない現場で起きていること
標準作業がない現場では、次のような状態が当たり前になります。
- 作業者ごとにやり方が違う
- 良し悪しの判断基準がない
- 不良が出ても原因が特定できない
- 指導が感覚や経験頼みになる
この状態では、品質を安定させることはできません。
なぜなら、
「何を、どこまで、どう管理するのか」が決まっていないからです。
標準がないということは、
つまり管理できない状態である、ということなのです。
第2章|なぜ標準作業は作っても守られないのか
「標準は作ったが、守られていない」
多くの現場で聞く言葉です。
その原因は、作業者ではありません。
- 実際の作業と合っていない
- 紙に書いてあるだけで現場に置かれていない
- 守れなくても問題にならない
このような標準は、
存在していないのと同じです。
標準が守られないのは、
意識の問題ではなく、
守れる仕組みができていないだけなのです。
第3章|標準作業とは何か(QC工程表の考え方)
標準作業とは、
最も安全で、品質が安定し、
誰が作業しても同じ結果になる方法を一つに決めたものです。
ここで重要になるのが、QC工程表の考え方です。
QC工程表では、各工程ごとに次のことを明確にします。
- 工程の目的(狙い値・出来栄え)
- 管理するポイント(管理値)
- 誰が管理するのか(人)
- どうやって行うのか(方法・手順書・標準書)
- 使用する材料
- 使用する設備・道具
これを工程の順序に沿って整理することで、
**「どこで・何を・どう管理するのか」**が見えるようになります。
(例)QC工程表-組み立て作業-
| 工程 | 狙い(出来栄え) | 管理ポイント | 基準 | 方法 | 人 |
| 組付 | 正しい向きで組付 | 部品方向 | 見本通り | 目視 | 作業者 |
| 締付 | 規定トルク | トルク | 5±0.5N・m | 測定 | 作業者 |
工程ごとに「管理する理由」が一目で分かる ことが重要です。
■ 各列の意味(現場説明用)
工程名
・誰が見ても分かる名称
・作業内容と混同しない
狙い・出来栄え(目的)
・「この工程で何を守りたいか」
・品質を工程で作る意識づけ
管理ポイント
・品質に影響するポイントのみ
※全部書かない(重要)
管理値・基準
・数値・見本・状態で明確化
・曖昧な表現はNG
管理方法
・目視/測定/チェック
・誰でも同じ判断ができる方法
管理する人
・責任の所在を明確に
・「みんな」は禁止
以下の管理項目を加えるとさらに管理しやすくなります。
使用材料
・間違えやすい材料ほど記載
使用設備・治具
・品質に影響する設備は必須
標準書・手順書
・紐づけがない工程表は形骸化する
異常時の対応
・「確認します」はNG
・止める/報告する/再作業など明確に

「工程 × 管理」の関係が一目で伝わります。
■ Excelで使うときの実践ポイント(重要)
- 最初から全部作らない
- 不良が出ている工程から1工程ずつ作る
- 作業者と一緒に作る(管理者だけで作らない)
作ったら必ず
- 現場掲示
- 見える化
- 守られているか確認
QC工程表は書類ではありません。
工程で品質を作り、不良を減らすための「現場の設計図」です。
第4章|現場で機能する標準作業の作り方(実体験)
私が実際に行った手順は、とてもシンプルです。
- 実際の作業を現場で観察する
- 作業を工程ごとに細かく分解する
- 品質に影響するポイントを絞る
- 管理すべき値や状態を決める
- 写真や図で分かる形にする
- 誰でもできるレベルまで落とし込む
- または、出来るまで教え込む
このとき重要なのは、
完璧な標準を最初から作らないことです。
QC工程表も、標準作業も、
まずは一工程から。
小さく作り、使いながら直す。
これが、現場で定着する唯一の方法です。
第5章|見える化がないと標準は守られない
標準作業は、
見えなければ守られません。
- 手順が分からない
- ズレても気づけない
- 指摘が人に依存する
これでは、標準は形だけのものになります。
見える化とは、
ズレや異常が自然と目に入る状態を作ることです。
QC工程表で決めた管理ポイントを、
現場で「見える形」に落とし込むことが重要です。
第6章|見える化の具体例(50人規模現場)
実際の現場では、次のような見える化を行いました。
- 定位置・定量・定方向の明確化
- 作業手順・標準書の掲示
- OK/NG見本の設置
- チェック表による工程内確認
- 異常が一目で分かる表示や色分け
これにより、
注意しなくても
作業者自身がズレに気づける現場に変わっていきました。
第7章|管理監督者がやるべき役割
標準作業と見える化を定着させるには、
管理監督者の関わり方が欠かせません。
- 守らせるのではなく、守れる形にする
- 守れたことを褒める
- ズレや不良を責めない
- 標準を定期的に見直す、見直しがやり易い雰囲気を作る
- 作業者から出た見直し案を否定しない、まず机上にのせること
標準は、一度作って終わりではありません。
現場が変われば、
工程も、設備も、人も変わります。
更新し続けてこそ、標準は生きたものになります。
まとめ|標準作業と見える化が品質を支える
品質が安定しない原因は、
人ではなく、
管理の仕組みにあります。
- 標準がなければ判断できない
- 見える化がなければ守れない
この2つがそろって、
はじめて品質は安定します。
標準作業と見える化は、
現場を縛るためのものではありません。
現場を守り、品質を守るための仕組みなのです。
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